発酵食品と健康効果 「酵素」の健康効果として紹介した内容は、
微生物を含む発酵食品の健康効果にも当てはまります。

さらに、人にはない酵素を含んだ発酵食品には、
発酵という化学変化を経て多種多様・高機能に生まれ変わった
発酵食品ならではの健康効果もたくさんあります。

また、発酵食品は、毎日無理なく摂り入れられる点も
魅力のひとつでしょう。

発酵食品ならではの効果

栄養をスムーズに吸収させる

発酵食品は、微生物の働きによって食品の成分がはじめから栄養素として分解されています。そのため、体内で自身の酵素を使って消化する負担が減り、栄養素として吸収しやすい状態で摂り入れることができます。

体内の酸化を防ぐ

老化の原因ともいわれている、活性酸素。体内の酸化が進むと、「酸化ストレス」が生じ、さまざまな細胞に悪い影響を与えます。
発酵食品には、ビタミンCやカロテン、ポリフェノールなどの抗酸化物質が豊富に含まれているため、体内で増えすぎた活性酸素を取り除き、正常なバランスに整えることができます。

善玉菌が豊富

発酵食品に含まれる、乳酸菌や麹菌、納豆菌や酵母菌、酢酸菌などは、腸内に食物繊維となって届き、善玉菌の大好きなエサとなります。腸内環境を整える善玉菌を活発化させることによって、栄養豊富でキレイな血液が全身に運ばれ、カラダ中が健康になります。また、善玉菌が活性化すると大腸のぜん動運動も活発になり、便秘解消の効果があります。

免疫細胞を活発化

乳酸菌や麹菌などの菌体は、カラダの免疫細胞の約70%が集まる小腸を通る際に、免疫細胞を活性化させる「指令ボタン」を押していってくれます。中でも、味噌や納豆、甘酒やキムチ、なれ寿司などが有効であるといわれています。 この指令ボタンを押すはたらきは、生きた菌体も死んだ菌体も同様にもっているため、調理で加熱した場合でも、発酵食品は免疫細胞を活性化する力をもっています。

栄養価アップ

微生物が発酵の過程で大量の栄養成分を生産してくれるため、もともとの食品の栄養価が高まります。たとえば、納豆に含まれるビタミンB2の量は、製品によって2倍〜4倍に増えます。ビタミンB2には、体内にたまりすぎた脂肪をスムーズに燃やして、肌を美しくし、脂肪太りを防ぐはたらきがあります。
また、発酵は元の食品にはなかった成分を生み出す作用があり、納豆菌の酵素は骨を強くするビタミンK、血液をサラサラにするナットウキナーゼなどの成分を、食品中に新たに生み出しています。

殺菌性

微生物には、自分以外の微生物の生育を阻止、または死滅させる拮抗(きっこう)作用があります。そのため、発酵食品の保存性を高め腐りにくくし、悪玉菌となる腐敗菌の繁殖を抑えます。

病気の予防

味噌には、たくさんの機能性成分が含まれていて、そのひとつに「メライノジン」があります。メライノジンは、抗酸化作用によって病気や老化の原因となる活性酸素を減少させ、コレステロールの低下、血糖値の急上昇の抑制にも有効で、がん予防にもその効果が期待されています。
また、納豆に含まれるナットウキナーゼは、血管内の血液の凝固を防止し、血液の流れをサラサラにします。

疲労回復

お酢のすっぱさは、発酵のはたらきでもたらされた酢酸やクエン酸などによるものです。クエン酸は食べ物の栄養をエネルギーに変えるときにはたらいている成分で、運動によって栄養が不足し疲れが生じている筋肉や器官にエネルギーを届けることで、疲労回復の効果があります。

リラックス効果

気持ちを落ち着かせ安定させるためには、「セロトニン」という成分がかかせません。このセロトニンの95%は腸内でつくられており、発酵食品を摂り腸内環境を安定させることが精神の安定にも繋がっています。
また、漬物に含まれる乳酸菌のGABAという成分は、脳をリラックスさせストレスの軽減や血圧低下作用にもよいといわれています。

美肌

麹菌が生み出すビタミンB群は、皮膚の代謝を助けます。また、麹に含まれる麹酸はシミの原因になるメラニン色素の過剰な生成を抑制するはたらきがあります。
日本のぬか漬けなどの漬物は生で食べられるため、熱で壊れやすいビタミンCも容易に摂り入れることができます。

効果的な摂り方
その健康効果から、私たちの生活に欠かせない「発酵食品」ですが
その力をより効果的にするための食べ方があります。

毎日続けて食べる 私たちは、一生をかけて、日々食べることによって
カラダや生命を維持しています。
今食べているものが、明日の、10年後の
カラダをつくっているといっても過言ではありません。
発酵食品も、少しずつでも毎日食べることで、
効果が維持され、体質が徐々に変わり、
病気を寄せつけない健康なカラダになります。 複数の食品を組み合わせる
発酵食品といってもさまざまな種類があり、その効果もさまざまです。
それぞれのよいところを取り入れるためには
毎日複数の発酵食品を組み合わせて摂ることがいいでしょう。

また、不思議と同じ発酵食品どうしは
その独特の風味が相まって、調理の相性も抜群です。
たとえば、納豆キムチや、チーズの味噌漬け、
酒粕入りの具だくさん豚汁など、
さまざまなアレンジを楽しむのもよいでしょう。