「酵素」とは 私たちのカラダになくてはならない
生命活動を保つ“命の素”
「酵素サプリメント」や「酵素ダイエット」など、
「酵素」という言葉がよく聞かれるようになりました。
健康や美容に良さそうというイメージはあっても
実際にはどんなもので、どんな働きや効果があるのか、
今ひとつわからないという方も多いのではないでしょうか。

「酵素」とは、私たち人をはじめ、あらゆる生命の
カラダの中で作られる「たんぱく質」のひとつです。
私たち生命の体内では、いつもさまざまな化学反応が起こっていて、
それによって食べたものを消化・吸収したり、
エネルギーを体の隅々に届けたり、呼吸をしたり、筋肉を動かしたりと、
あらゆる生命活動に役立てられています。
そして、その反応のためになくてはならないもの、それが「酵素」なのです。


酵素の性質

酵素は、体内外で起こる化学反応に対して「触媒(しょくばい)」として働きます。
触媒とは、それ自体は変化を受けず化学反応を進める物質のことです。

酵素の働きによってもともとあった物質がカタチを変え、新たな物質に変化します。
たとえば、お米などに含まれるでんぷんはブドウ糖へ、
肉や魚に含まれるたんぱく質はアミノ酸へと姿を変え、
食物をカラダへ吸収可能な物質へと作りかえてくれます。


酵素の特異性


カラダで起こる化学反応に欠かせない酵素ですが、たとえばたんぱく質を分解する酵素はたんぱく質しか分解できず、でんぷんを分解する酵素はでんぷんしか分解できません。
たんぱく質を分解する酵素では、でんぷんや脂質など他の物質を分解することができないのです。

この、ある特定の化学反応にしか働かない酵素の性質のことを、「酵素の特異性」と呼びます。
そのため、人のカラダの中には多種多様な化学反応を行えるように、約5000種もの酵素があると言われています。

熱に弱い酵素


酵素の主要な構成要素は「たんぱく質」です。
そのため、他のたんぱく質と同じように加熱によって構造が変化するため、酵素の機能を失ってしまいます。
つまり、食物によって酵素を摂り入れたい場合、ゆでたり焼いたりせず、生のまま食べるほうが適しているでしょう。

特定の環境条件


もうひとつの大きな特徴として、酵素は限られた環境条件の下でしか機能しません。
たとえば、多くの酵素は人や動物の体内で働くため、体温に近い35℃から40℃の温度で最もよく働きます。
また、酸性・アルカリ性を示すpHについても、ヒトの体液に近いpH7.35〜pH7.45の間で最もよく働きます。しかし、逆に胃酸に含まれるペプシンは強い酸性の環境下で働くため、pH2と非常に強い酸性において最も働き、中性付近ではほとんど働きません。
このように、決まった環境でひとつの働きしかしない酵素は、まさに代わりがきかないスペシャリストなのです。